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オーディオソースの今後について考える [AUDIO]

大雑把に音源となるメディアの歴史を書くと以下のようになります。

1909 SPレコード(SPはSTANDARD PLAYの意味。LPレコードが出てから作られた言葉)

1948 LPレコード (LPはLONG PLAYの意味)

1958 ステレオレコード

(1972 PCM録音)

1982 CD

1996 DVD

1999 SACD / DVD Audio

現在、市場に流通しているメディアとしては、発売開始後25年以上経つCDは非常に長命な規格であることが判ります。当初、SACDやDVD AudioがCDの次世代のメディアになると期待されていましたが、どちらも、充分に普及できませんでした。すでにDVD Audioは規格として消えています。SACDは生き残っていますが、将来的にCDを市場から駆逐し、主たる音源になるとは思えません。

これら新しい物理メディアがCDと置き換わる前に、ネットワークからダウンロードできるデジタル音源が市場で大きな位置を占めるようになりました。それ以前にも同種のサービスは提案されてきていましたが、エポックメーキングなのは、やはりこれになります。

2003 iTunes Store サービス開始

日本国内では他国に比べて高性能な携帯電話が普及している事から、着歌フルといった、携帯電話インフラを利用した音楽配信サービスも普及しています(2005年くらいにサービス開始)

CDは開発後四半世紀が過ぎた今となっては少々古い規格。次世代パッケージメディアは普及に失敗、インターネットを利用した配信サービスのビジネスの拡大。世界経済の失速による影響。という状況を考えると、今後は、音楽のネットワーク配信を無視するわけにはいきません。

現状のネットワーク配信サービスは音源としてCDより質の劣る、MP3やAAC/ATRACなどの圧縮フォーマット中心です。これはCD1枚分のデータ500~700MB程度をダウンロードするのに、世界の多くの国のネットワークは充分に高速ではないため、ファイルサイズの小さな圧縮オーディオフォーマットがそれに適合した点、CDビジネスを成立させている音楽業界が、ネットワークビジネスに進出するときに、より音質の劣るファイルで試験的に行いたいという思惑などが、一致したものと思います。

音源の質としてはCDより退化していますが、携帯機器で外で音楽を楽しむ程度ならば充分に使えます。ノイズを気にしていたテープのプレーヤーよりは、利便性も含めて上と考えて良いでしょう。

さすがに、高級なオーディオ機器で圧縮フォーマットを再生するは、ちょっと違和感を感じます。オーディオファイルにとって、ネットワーク系のオーディオメディアへ注力する最低条件は、CD同等のフォーマット。出来れば、CDを超えるフォーマットがあれば背中を押す材料になると思います。最近はネットワークを利用して、CD同等、もしくはCD以上のスペックを持つ音楽ファイルの配信が始まっています(LINN, ONKYO等)。勿論、まだまだ規模は小さく、標準的ともいえません。

余り規模の大きくないメーカーが独自で高音質フォーマットで配信を始められるのは、ネットワークオーディオの特徴ともいえます。メディアの膨大な物理層の仕様を決める必要もありませんし、再生系をPCに限定すれば、PCの強力なパワーを用いて、どんなフォーマットでも再生できてしまいます。これを専用ICを開発してCD PLAYERのような筐体に納めるのは、開発コストのことを考えても、非常に膨大で、業界全体で取り組まなければなりません。

また、忘れてはいけないのはリセッションの影響で世界中のレコード会社が疲弊していることです。パッケージメディアでは企画として通っていないようなレコードが、iTunesではダウンロードできる事。等、初期投資が少なくてすむ(物理的なメディアがないから当然ですね。)ネットワークを利用した配信は、今後の進化の方向によっては、現在のオーディオの停滞を救う救世主になるのではないかと思います。パッケージメディアで実現していない企画が、iTunes上で配信ビジネスとして成立しているのが、その証拠の一つです。(といっても、iTunesそのものも充分に利益を上げられているとはいえない状況ではありますが)

個人的には物理的なパッケージメディアに思い入れはありますし、現状のGUIを立ち上げないと、曲の選曲の出来ないような製品の作り方には多大な疑問があります。CD以上のフォーマットといいましたが、日本のネットワーク回線は世界的にみて、非常に早く太く安いので、海外でサイズの大きなファイルをダウンロードできるような情況が、何時頃見えてくるか?IPTVが普及すればセットで回線は太く安くなるとは思いますが、簡単ではないでしょう。(音楽主体で回線を太くしようとしているわけではないので、何とかなるのでは?という気もします)

製品の作りこみについては、まだ発展途上ですから否定材料にはなりませんし、パッケージメディアに拘った挙句、音楽業界が沈没してしまっては始まりません。ステレオサウンド誌でも、これらの機器に対する記事の取り扱いが始まったようですが、評論家諸氏の意識には随分差が有るようです。自分の想いに凝り固まり、時代の変化についてくることを否定し、次の時代への責任感を放棄する人は、その程度の存在だという事です。

ところで、友人に指摘されて気づいたのですが、パッケージの芸術性とか言うけど、再販のたびに、パッケージデザインが変るのは、割と普通ですよね。


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miya

私も同じようなことを考えていました。
CDを超えるフォーマットで広まって欲しいですよね。
それが何であれば、現状よりもよくなるんであれば賛成です。
ネットワークは賛否がありますね。
私もジャケットに愛着はありますが、このままだとこの産業も確実にすたれますね。
広い世代に浸透させるなら、現在のGUIに依存するのは疑問ですね。
このあたりがブレークスルーすると、オーディオ界も盛り上がると思うんですけどね、
ネットワークプレーヤーを普及を見ても、みんな音楽が嫌いになったわけでなく、最高の音を知らないだけだと思うんですよね。
その中の幾人かの人がオーディオに興味を持ってもらえればいいですね。
by miya (2009-04-26 23:53) 

YAS

このエントリーは、まだ、充分に自分の考えている事を書ききれていないので、少しずつ修正していこうと思います。

実際には、高音質フォーマットの以降以前に、従来のパッケージメディアの形態では、音楽会社は新しい音楽への挑戦すら出来ず、売れ線の音楽しか販売できない。という状況があると聞いています。

実は、ここのブレークスルーが出来ないと、音楽そのものが衰退する可能性が高いのです。
by YAS (2009-04-27 00:06) 

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