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LS3/5A雑感 [AUDIO]

LS3/5Aは、英国国営放送BBCの古いモニタースピーカーです。3は可搬型モニターを意味する数字です。3/5A以前は、そもそも小型のモニタースピーカーというものがほとんど無いのですが、民生用のGOODMANSのMAXIMのアンプ内蔵のモニター仕様のものなどが使われていたようです。

スピーカーユニットは一貫してKEFの物が使われていましたが、セットとして製造したメーカーには、Rogers, Goodmans,Spendor, Harbeth, KEF, RAM, Audiomaster, Chartwell等があります。(現在は、Richard Allan, Stirlingが、かつての仕様に近い形で生産していますが、現行Rogersのものと同じく、スピーカーユニットは同じではないでしょう。)

ネットワークやスピーカー端子の部品パーツの詳細まで仕様に規定されていなかったので、メーカーや製造時期によって使われているパーツが異なります。したがって、メーカーは時期によって音質が違ったのは間違いないのですが、同じメーカーでも時期によって仕様が異なる(おそらく、音も違う)事から、単純にメーカーによる音質差といえるかどうか… 私には判別できません。それに、現在手に入るものがすべて中古品ということを考えると、音の違いがオリジナルに起因するものか、経年変化の具合によるものか、保証できるものでもありません。(10数年前、当時、現役で生産中だったHARBETH, ROGERS, SPENDORあたりを雑誌で比較視聴している雑誌記事はありましたが。)

どのみち、どこどこの3/5Aが… みたいな無責任な発言には、踊らせられない方が良いような気がします。 私が所有しているのは、初期型15オームのROGERSと、最終生産版のバイワイヤリングタイプのROGERSの在庫処分品の2ペアです。前者は中古で5万円くらいで購入。後者は、新品で12万円くらいで購入しました。(ほか、当時のROGERS JAPAN解散時に放出したユニットとネットワーク一式。)

バイワイヤタイプは、私の実家で、音楽&TV用としてQUAD66シリーズと接続されて活躍しています。LS3/5Aのナチュラルな音質はTV用として使っても非常に好ましい音質です。QUADとの組合わせも、定番ではありますが、良いですね。高域の抜けや低域の量感は無いので、派手な演出のある映画をみる時に、効果音の再生という面では、少々物足りなさも感じます。

まさしく、LS3/5Aの本質はそういうところにあると思うのです。ナチュラルで中庸で突出したところが無い。そのトータルのバランスは、他ではなかなか得にくいものだけれども、解像度や帯域といったオーディオ的な快楽の部分を求めるには、不足感もある。ある意味、聴き手や音楽を選ぶスピーカーともいえるでしょう。

オーディオ的快楽からは、ちょっと遠いところにあるので、初心者向きの装置ではないような気がします。言い換えると、ある枠内では万能に近いですが、枠をちょっと出た瞬間、色々と不足感が出てきます。それが良い点でもあり、欠点(というか、限界)なのでしょう。ケーブルやセッティングの差を完全に表現する(と、いってる人が居た)なんて、さすがに大げさすぎます。

もし私が、1~2ヶ月程度、住まいを離れて生活する必要があり、ちょっとしたオーディオセットを持っていく余裕があるのならば、高い確率でLS3/5Aを選ぶと思います。その中庸さは、色々な音楽を聴く目的にも、平均的に好ましいからです。でも、それ、期間がそれ以上だとちょっと辛いかもしれない。不足感に我慢できなくなるような気がするからです。

復刻版が40万円と、少々高い事を考えると、中古市場価格は今後もアップするのかなぁ?しかし、今後、一層、故障品の素人修理品とか、問題のある中古品が市場に出回るような気もするので、これからLS3/5Aを欲しいと思う人は、注意深く。雑誌の特集記事を読んでその気になっただけの人なら、LS3/5A以外のスピーカーで、もっと幸せになれる人のほうが多いと思います。

たまたま、自分が手に入れた/持っているからといって、伝説のスピーカーに仕立て上げる人が居るので(苦笑 まあ、せめて、音を聴いてから、考えてください。


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oshow

YAS さん はじめまして

oshowと申します。
odex扱いのnaimとRogersを使い続けて20余年の者です。

”まさしく、LS3/5Aの本質はそういうところにあると思うのです。
中略
雑誌の特集記事を読んでその気になっただけの人なら、LS3/5A以外のスピーカーで、もっと幸せになれる人のほうが多いと思います。”

ブログ拝読しましたが全くもって仰るとおりと思います。
モニター用途として人声確認の為に使用されていたモノを
BBCのお墨付きがあったばかりにそれだけが一人歩きをして、
それに群がる者たちが性能ではなく希少価値とリセールバリューのために
伝説やら歴史を語りだしたといえます。

20余年使ってきていますがこのスピーカーの市場価値が理解できません。
とはいってもRogersLS3/5Aを使っているといえばオーディオのベテランと見られることは理解できています(笑)。

ま、私がこのスピーカーの価値が理解できるのは手放したあとの、
先方から頂いた金額でしょうけどね(笑)。

失礼します。
by oshow (2020-08-17 23:14) 

YAS

oshow さん、随分古い記事にコメントありがとうございます。

価格については、あまりあれこれ言う気はありません。英国生産で頑張っているstirling broadcastのLS3/5Aは40万円をこえますが、日本の経済成長が諸外国と比べてストップしている影響あり。過去の倍額になっているのは、かつて安物タンノイと馬鹿にしていたスターリングが今やがちょっとした値段になっているのと同じだと感じています。中古市場の高騰に関しても、最近はどうか知りませんが、一時期は海外からの買い付けも多かったようです。
by YAS (2020-08-23 23:32) 

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