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タンノイ/TANNOY ~ お気に入りのスピーカー達 [AUDIO]

私が最初に手に入れたスピーカーがタンノイでした。タンノイをメインで使っていないときも、サブシステムでタンノイのスピーカーを使うことは多いので、やはり、私はタンノイのやわらかく暖かい雰囲気が好きなのでしょう。

■私がオーディオを始めたのは、1980年代後半のことでした。学生時代をすごした大阪の、日本橋電気街のオーディオ店の店頭で色々比較視聴した結果、当事、一番気に入ったスピーカーだったのは、実はHarbethのHL-Compactでした。しかし、学生の身分では予算的に折り合わず、2番目に気に入り、購入したのがタンノイのM20 Gold mk2という定価がペア99800円の、同軸ではない普通の2WAYスピーカーでした。実は、購入した当時はタンノイが非常に有名なメーカーである。ということすら知らなかったのです。価格帯の近い、ONKYO, VICTOR, DIATONEの小型スピーカーより私には音楽的に楽しい音に感じられました。

 

TANNOYのM20Goldmk2

 

購入したお店は、今はオーディオ販売をやめてしまった、日本橋電気街の電気店です。お名前は失念してしまいましたが、比較的若い店員さんが、学生の私に非常によくしてくれました。雑誌以上の知識を色々教えてくれたり、自由に視聴させてくれた事を、今でも感謝しています。

当事は、まだ、オーディオ雑誌などを参考にシステムを組んでいる時期だったので、同価格帯の国産のアンプ、国産のCD Playerと組み合わせて使っていました。今思えば、割とバランスの良い組み合わせで、充分に満足できる音が出ていたと思います。

■M20購入後、1~2年後だったと思うのですが、上記の販売店のオーディオフロアの店頭品セールで、半額くらいになっていたTANNOY Little Gold Monitor(LGM)という30cm同軸を比較的小さなバスレフキャビネットに収めた、業務用のスタジオモニターを購入しました。当時のタンノイの家庭用のシリーズと比べると、高解像度でかちっとした音でした。かといってタンノイらしい暖かみがあり、私にとって心地の良いバランスの音だったのです。

 

TANNOYのLittle Gold Monitor

予想外の早い買い替えになりましたが、LGMを購入し、今までのスピーカーと入れ替えてみると、クオリティは向上するものの、全然低音が全然出ません... 質的には、M20を大きく超えているのですが、再生帯域のバランスが狂った感じの音なのです。今思うと、アンプの駆動力や音の品位がスピーカーに負けていたのでしょう。それから、私のオーディオに対する苦労というか道楽が始まりました。このLGMとの出会いが、私のオーディオへの真剣な取り組みの第一歩になったのです。そういう意味でも貴重な出会いでした。

LGMは、その後、長い間、私のメインスピーカーの座に座っていました。メーカーが用意したスタンドの出来が良くなかったので、楓材のスタンドを特注したり、吸音材に手を加えたり、元に戻せなくならない範囲で若干の改造もしました。後に、ソニーミュージックの信濃町のスタジオで、モニターとして使用されていたことも知りました。愛着があるため、その後も手放さず、別システムとして使用しつづけています。

■タンノイの歴史を語る中で、有名なスピーカーといえば、AutographやGRFの存在が欠かせませんが、日本家屋のサイズにあう小型スピーカーとして25cm同軸を使用したIIILZ in Cabinetは、特に日本のオーディオファンに愛されたスピーカーでした。(英国表記では、Iではなく1をつかって111LZと書く場合も多いようです。)

あまりに日本で人気があったため、英国内でモデルチェンジされ、英国でのモデル名が変わった後も、日本ではIIILZとして販売されたほとです。IIILZは本来はTANNOY Monitor REDとGoldの25cmの版の名前です。Gold以降は、タンノイの25cm同軸はHPD295というモデル名に変更になり、特性や音質も大きく変わり、推奨箱も密閉からバスレフになります。しかし、HPD295を使用したスピーカーも、日本国内では、IIILZの名前で販売されていました。これについては、違和感を感じています。

私が3LZ monitor gold in cabinetを入手したのは、ヴィンテージオーディオに興味を持ち始めた、2000年位のことです。国内市場では、複数の所有者の手にわたり、箱が国産か英国製かもわからない出自がはっきりしないものが多い事もあり、英国から取り寄せました。

1960年代後半から70年代にかけて、柔らかい音と評されていたⅢLZですが、当時の日本ではLuxmanの真空管アンプとの組みあわせが多かったようです。タンノイといったら真空管アンプというイメージもあったのでしょうが、IIILZもGOLD時代のものは、インピーダンスが8オームになり、真空管アンプよりトランジスタアンプとの組み合わせの方がある程度しっかりした解像度が出て、真空管アンプとの組み合わせより相性が良いというのが、私なりに色々試して得られた結果です。もちろん、真空管アンプもLEAK ST20等、それなりに良いものと組み合わせています。当時の英国では、QUADの303や405, LEAKのStereo30と組み合わされていたのではないでしょうか?

勿論、解像度が出るといっても今風の音ではないのですが、けっして、ボケボケの音ではありません。アンプとの相性が良いと、実に良い雰囲気で音楽を"奏でて"くれるスピーカーです。勿論、Autographユーザーだった五味康裕氏の言葉を借りるまでもなく、箱は英国製オリジナルに限ります。極小音量ですら、びりびりと振動する小型の密閉箱の箱の作り、材質が音質に与えている影響は絶大なものがあります。残念ながら、箱や吸音材の素材のまったく異なる国産箱では、その微妙な音がまったく出ないのです。

現在は、我が家のスペースの問題から、友人のオーディオ評論家宅に預かっていただいており、KRELLのプリメインでよい感じで鳴っています。

ビンテージタンノイに、“古くて品質が良くて価値がある”という意味を込めるとしたら、私はユニットとしてはGOLDまでとしたいと思います。箱は現代のものはともかく、古い時代のものは、樺合板や単板を使った時代まででしょうう。日本で人気のあったARDEN等は、キャビネットが密度が低く響きの悪いチップボード(同じチップボードでもLGMよりかなり低密度でぼこぼこいうことを確認しています。)になり、音質もぼけていて、タンノイ製のキャビネットとしては低品質な時代のものです。

■日本では知名度が低いですが、タンノイ等のスピーカーユニットを使って、BBCなどに納品する為のスタジオ用モニタースピーカーを制作していたメーカーとして、英国のLOCKWOODという会社があります。(現在は、古いタンノイの修理や、幾つかのメーカーの製品の代理店をやっているようです)このメーカーの最上位機種はBTH社の46cm同軸スピーカーを搭載した巨大なスピーカーなのですが、私はタンノイの30cm HPD315を使用したAcademy IIという中型のモニタースピーカーを持っています。同じ30cmユニットを使っていても、LGMとくらべると、倍以上の容積の大きな密閉型のキャビネットです。このキャビネットには面白い工夫があって、バッフル版は、スピーカーの前後を貫通する4本の長いネジでスピーカーの裏板に固定されています。ここらへんに長年モニタースピーカーを作ってきたLOCKWOODのノウハウが隠れていそうです。

このスピーカーの音を聞くまでは、HPD系のスピーカーユニットに対する印象はあまり良いものではなかったのですが、工夫された品質の良い箱によって良い音が出ることがわかりました。

■タンノイに会うアンプ

上にIIILZの例で書いたように、アンプとスピーカーのマッチングの良し悪しは先入観のようにはいきません。私のように複数のアンプやスピーカーを所有していても、すべての組み合わせの実験が出来るわけではありません。ネットの無責任な風評のように、「タンノイには、どこどこのアンプが合う。」といえるほど、単純なものではありません。

たとえば、IIILZは日本国内ではLuxmanの真空管アンプとの組み合わせが人気があったようですが、8オーム設定のスピーカーのため、英国ではトランジスタアンプと組み合わされて使われていたことが多かったようです。


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コメント 4

dazai

昔レコーディングスタジオで働いていた時のモニターがLGMでした。
大音量で鳴らすとすばらしい音でした、もし大きく鳴らせる環境があったら
購入したいと思ってます
by dazai (2010-10-27 16:09) 

YAS

dazaiさん、コメントありがとうございます。

LGMは30cmにしては小型の箱のせいか、もしくは、ギャザードエッジのせいか、仰るとおり、小音量では活き活きと鳴り難く、ある程度の音量で本領を発揮するような気がします。

箱の素材はMDFとパーチクルボードの組み合わせですが、同社の近い時期の民生用の箱と比べても、非常に密度が高く硬い素材を使っています。大音量に負けない箱が必要だったのでは?

dazaiさんが、LGMと幸せな再会が出来ますように。

by YAS (2010-10-27 18:39) 

O町

半年ほど前に新しいスピーカーを買った際に倉庫にお蔵入りしたLGMですが、今日、また倉庫から出して来ました。
新しいスピーカーもそれなりに鳴るのですが、やっぱり20年連れ添った相棒の音が一番落ち着きます。
by O町 (2010-12-02 23:19) 

YAS

LGMはエッジもハードタイプで寿命に問題がありませんし、長く使えるスピーカーですね。

O町様の新しいスピーカーも、まだまだ初期エージングの最中でしょうか?これから、どんどん音が良くなるでしょうね。

by YAS (2010-12-05 10:50) 

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