Vintage Audioについての幾つかの誤解 LEAK STEREO20の修理 [AUDIO]
さて、皆さんは10年使い続けた家電製品が初期性能を維持していると思いますか?数年ぶりに押入れから出した、電熱器。やっぱり、使えるかどうか、不安ですよね?普通は、劣化していると思うでしょう。
私の、オーディオセットの中にも、1950~60年代くらいのVintage時代の名機をつかうシステムがあります。(個人的には、1970~80年代は、安物の時代で、Vintageの名に値しないと思っています。)車でもVintage CAR趣味の人が、現代の車には無い良さを古い車に感じているのと、近いかもしれません。(個人的には、ちょっと違うと思うのですが、本論とは異なるので、ここでは深入りしません)
さて、車の場合は日本には車検制度がありますから、公道を走るためには最低限のメンテナンスを受けている必要があります。おかげで、いきなり公道で立ち往生して周りに迷惑を掛けるような車は、めったにありません。また、一般の人の間でも、古い車に乗ることは、メンテナンスコストなど、大変だということが、ある程度理解されているのではないかと思います。
オーディオ機器の場合は、最初に書いた常識が、通用していないと感じることが多々あります。もちろん、車検制度はありませんから、音が出ていれば、たとえ本来の性能でなくても、使えるわけです。
たとえ未使用で良い環境で保存されていたとしても、経年変化により電解コンデンサは容量抜けしますし、実際に使用されたものは、熱によりソリッド抵抗は抵抗値が倍くらいになり、オイルコンデンサやフィルムコンデンサの類も一部の高級品以外は耐圧が劣化し、動作中にDC漏れを起こすようになります。真空管アンプのアウトプットトランスの断線だって珍しくありません。プッシュプルアンプは、片側の巻線が切れていても、音が出ます。(比較的メジャーなあるアンプ、OPTの断線率が非常に高いのですが、それを扱っていたある業者、そのことを全く知らなかったそうです。音が出てるかどうか程度のチェックしかしていないからですね。当然、客も故障に気づいていないのです。)
もし、Vintage Audioに興味がある人は、必ず、これらを、“本来あるべき形”に修繕してから、音を聴いて欲しいのです。だって、故障品がどんな音をだしているかなんて、興味ないでしょう?繰り返しになりますが、金銭的理由、技術的理由、どちらでもいいけど、Vintage Audio機器を正常な状態に戻すことが出来ないのならば、手を出さないほうが良いです。
本来あるべき形 これも、ちょっと難しいです。世の中に、まともに修理が出来る人が、殆どいないからです。私も出来ません。技術もそうですが、パーツのストックがありません。秋葉原やRSコンポーネンツの通信販売では、音響的に充分な性能の補修部品がそろわないのです。もちろん、いいかげんな代替部品では、”本来あるべき姿” とは、音質的に言い難い。
往年のハイファイ機器と呼ばれたものは、多くのものが、今聞いても、ちゃんとハイファイの音が出ます。当時の資料を見ても、欧州のFM放送は高域15KHzを保証していました。レコード会社間の特性アップ競争だって、すさまじいものがあります。性能に対する要求は非常にシビアだったのです。
私は、雑誌類のVintage Audioのレビューで、高域のレンジの狭さとか、音が甘いが。といっているレビューの多くが、本来の性能を発揮出来ていない物を聞いているからではないかと疑っています。当時は、ハイファイオーディオが花形産業だった時代ですから、大企業が研究費を出し、博士号を持つ一流の科学者が音声増幅回路の研究・改良に心血を注いだ時期でもあります。現在のオカルト系オーディオメーカー(これについては、後日、改めて書きたいと思います)等とは比較にならない位には科学的に開発されています。
Vintage Hifi機器から、ノスタルジックな音と形容される音が出ていた場合、かなりの確率で本来の性能を維持していない。と、考えても良いと思っています。最近のオーディオ雑誌では、無責任にビンテージオーディオ機器を紹介しているものもあり、非常に危険だと思います。
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LEAK STEREO 20 は素晴らしいですね。これと組み合わされるプリアンプは何をお使いですか?
by atakada (2008-07-01 05:37)
自作のパッシブアッティネータや現代のプリメインアンプのプリアウトと組合わせていたのですが、最近、QUADの新型真空管アンプのQC-24Pを入手したので、これと組合わせてみようと思っています。
by YAS (2008-07-01 23:10)
> 最近、QUADの新型真空管アンプのQC-24Pを入手したので
先ほど最近の新しい記事を拝見していて、この記事を見つけ、ああそういうことですね、などと納得していました。
LEAKのトランジスタアンプを購入した店に、LEAK STEREO 20 (整備済み)というのもあったのですが、程度の良さそうな?トランジスタアンプの方が希少かなと思い、今回はLEAK STEREO 20 は見送りました。組み合わせるプリアンプは何にするのかという点では、QUADの新型真空管アンプなども良さそうだよな、などと思っていました。
実はアーカム製品の国内での販売が当分ストップするようなので、駆け込みで流通在庫品を購入したりしたのですが、これがきっかけで購入意欲に歯止めがかからない?状態のようです(笑)。
蓄積された記事が沢山あるので、ゆっくりと読ませていただきます。
by atakada (2008-07-02 11:53)
上記のような修理が出来る業者は、ほかにちょっと見当たらないので、私の場合は、ビンテージオーディオを買う場合は、下手に整備されているよりは、現状品をそのままのほうが助かるのです。
by YAS (2008-07-03 22:39)
確かに。それでも素性の良い機材を探すことは基本的に大切そうですね。
by atakada (2008-07-04 21:35)