ツイスト型自作ケーブルの顛末 [AUDIO]
DIY AUDIOの世界でスピーカーケーブルを作るものもあります。メーカー製とは異なる、ちょっと凝った構造のものを作れるので、こういう世界を知ってから、私も興味を持っていました。
まず、私が作ったのは、Low-Inductanceケーブルとして、比較的メジャーな自作パターンの一つ、ツイスト線を組み合わせたものです。
作り方は下記のページを参考にしてください。作例ではチューブをかぶせるなど凝った処理をしていますが、私は実験なので、そこまではしていません。
電線は手元にあったCanareの4S6を分解し、中から4本の電線を取り出して使いました。8本の電線から4本のツイストペア線を作り出すので、必要とするケーブルの倍以上の長さの4S6が必要になります。
音は、4S6をそのまま使うよりは、少し良いけど、ちょっとぼけた感じの、どこか物足りない音でした。柔らかくて取り回しは悪くないので、実験用に使うことはあっても、サブシステムですら出番はありませんでした。
ところで、このケーブルの見た目、実際には、全く異なるのですが、KIMBER KABLE の編み込みタイプのケーブルを彷彿とさせられませんか?
そこで、KIMBER KABLE の一番ベーシックな製品 4PRと比べてみました。4PRは、プラス側/マイナス側それぞれ4本のケーブルを独自の編み込みで作られたケーブルで、今回の自作品のような単純なツイスト線ではありません。
ケーブルの断面積は13AWG相当。2.5SQ程度ですから、自作ケーブルよりは若干断面積が大きいです。
それより、カナレの導線が一本一本が細く柔らかいケーブルだったのに対し、Kimber 4PRの導線はもっと太目で割としっかりした硬さのものでした。ただ、ケーブル全体としての4PRは非常に柔軟性に富んだものです。
両者のケーブルは、2m強で長さはそろえたわけではありませんが、大きく異なりません。末端処理は測定器用の高品質なバナナプラグ(はんだ付けタイプ)を使用しました。
真空管アンプ(EAR861)と、シングルワイヤリングのスピーカー KEF LS50の間に入れて使ってみました。
自作ケーブルは、自然と言えば自然な音なのですが、色々と物足りない音で、LS50の性能を発揮できているようには聞こえません。4S6は切り売り75円/mくらいなので、原価150円少々と考えれば価格以上ですが、製作に相当な時間が掛かっています。
一方、Kimberケーブルは、解像度が非常に高く、音場も綺麗に広がります。高域も綺麗に伸びていて、スッキリ、クッキリした気持ちの良い音です。音の厚みはもうちょっと欲しいな?と、感じましたが、充分にオーディオ的な快楽を感じさせる音でした。(なお、音の厚みや一層な高域の解像感は上位モデルの8TCで素晴らしいと感じるレベルの音が出ました。)
ヨドバシで切り売り1290円(10%還元)と、比較的安価な事を考えると、スッキリした音が好きな人には、非常に価格性能比の高いスピーカーです。私はこの製品をリビングの比較的お気軽なサラウンドシステム(SONY STR-DN2030 + PMC DB1 x 5)のフロントとセンター用に使うことにしました。
より上のクラスを狙うには、絶縁体をテフロンにした4TCが良いでしょう。(導体が倍の8PRという製品も有りますが、4PRで2.5SQという充分な断面積があるので、これ以上は断面積よりは素材の質を上げていった方が好結果を得やすいはずです。私は断面積倍かつテフロンの8TCを使っていますが…)
今回、私の自作ケーブルは4PRに完敗でしたが、素材やツイストの間隔を変更したら、また、別の結果が出るかもしれません。
P.S.
蛇足ですが、KIMBER KABLE は非常に偽物(FAKE)の多い製品です。CHINA系の某ECサイトでは、香港やCHINAから
大量のFAKE品と思われるものが、本国価格の何分の一というありえない値段で流通しています。KIMBER KABLE社もオークション等で偽物が大量に流通している事を注意しており、購入する場合は信頼のおける専門店で買いましょう。
また、末端処理が結構大変なので、性能の良いニッパーやワイヤーストリッパーは必須ですよ。
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