SSブログ

英国の小型スピーカーの歴史 GOODMANS MAXIMとLS3/5A [AUDIO]

1964年にGoodmans社から歴史的なスピーカーが発売になります。Goodmans MAXIMです。

5インチウーファーと同程度の口径のコーン型ツィータを備えたこのスピーカーがオーディオの歴史の中で重要と思われる点は、初めてシステム化(キャビネット、スピーカーユニット、ネットワーク等が最初から纏められた形)されて商品化されたスピーカーといわれていることです。

同時に、2WAYに帯域分割をして全帯域を再生する最初の小型ハイファイスピーカーである点です。 W140 x H260 x D180mm、外容積わずか6.5リットルは、当時の家庭用ハイファイスピーカーの主流の製品が20~30cmウーファーの時代に、驚くほど小型でした。同時期にユニット単体で販売されていたAXIETTE8という20cmフルレンジスピーカーの標準箱は約50リットルの容積を必要としていたことを考えると、ハイファイ用途として使えるスピーカーとして、当時のMAXIMがいかに小型だったか判ると思います。

このスピーカーは、Edward James Jordan氏のGoodmans社における最後の開発といわれています。Jordan Watts社が1963年設立なので時期的には適合しそうです。

MAXIMはBBCでLS3/Mという型番で、小型可搬モニタースピーカーとしての採用例も有るようです。また、小型のトランジスタアンプと組み合わせて、アクティブスピーカー化もされています。おそらく、この時点でBBCは小型モニタースピーカーの利便性の高さに気が付いたのではないでしょうか?

このスピーカーは現在の小型スピーカーと異なり、耐入力が非常に小さく8~16W(資料によってばらつき有り。時期によって製品仕様が異なるためか?)しかありません。現在のトランジスタアンプでの駆動は気をつけたほうが良いでしょう。

日本でも、テクニクス1等、同種のスピーカーが発売されています。日本同様、住宅事情の厳しい英国でこういった小型スピーカーが生まれたのは興味深いことです。


1972 年にMAXIMの後継モデルとも言える小型スピーカーが出ます。それがDouble MAXIMです。キャビネットのサイズはW180 x H450 x D190mmとMAXIMと比べると2倍強のサイズになり、ユニットは名前の通り5インチウーファーのダブル。ツィータはコーン型からドーム型に変更になっています。箱はMAXIM同様、密閉箱です。

DSC01574.JPG


GOODMANS DOUBLE MAXIM と ROGERS LS3/5A

DSC01575.JPG


2本のウーファーの間にウレタンを配置し、ユニット間の相互干渉を抑える工夫が見て取れます。ウレタンは劣化しているので、交換が必要ですね。

ウーファーは初期型のMAXIMのように巨大なマグネットを背負ったものではなく、通常のマグネットサイズです。後期生産タイプのMAXIMはマグネットサイズが小さくなっているので、それと同じくらいかもしれません。キャビネットの中には高密度のウレタンが充填されています。

私はこのスピーカーを所有しているのですが、流石に小型密閉箱で低音はあまり出ませんが、なかなか魅力的な音が出ていて、小型スピーカーとしての完成度もかなり高いと思います。このDouble MAXIMもMAXIM同様BBCモニターとしての採用実績があったようです。

1974 年に、皆さんもご存知の小型スピーカーの名器が誕生します。BBC研究所のLS3/5Aです。おそらくは、MAXIMやDOUBLE MAXIMの採用実績から、BBC内部で小型のモニタースピーカーの標準化の要望が出たのでしょう。KEF製の新開発スピーカーユニットを採用したこのスピーカーは、ROGERS, SPENDOR等のBBC研究所ゆかりの会社だけでなく、前述のGoodmansなど多くの会社でライセンス製造され、現在も多くのファンの多い小型スピーカーの傑作モデルです。

続きます?


スポンサーリンク
nice!(0)  コメント(5)  トラックバック(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 0

コメント 5

corrado

ご訪問ありがとうございました。

by corrado (2011-02-21 00:12) 

管球マニア

すみません、BBC研究所のLS3/5Aはそもそも野外録音用のトラック・バンのなかでモニターするためでスタジオ用のBC-1なんかとはもうぜんぜん違います。まるで音楽用の放送モニターのように考えて名機扱いされてますが笑止千万です。
by 管球マニア (2011-02-28 01:22) 

YAS

管球マニアさん、コメント有難うございます。

コメントの内容は独り言ですか?それとも、コメント先を間違えたのでしょうか?

LS3/5Aの3が可搬型モニターの系統をあらわすことも、LS3/5AがMUSIC MONITORでは無いことも、常識ですし、上記の私のエントリーも、過度にLS3/5Aを持ち上げたりしてませんよね?(というより、私は過度にLS3/5Aが名機扱いされている状況には違和感を感じている方なのですけど。)

昔、こんなエントリーも書いています。
http://rasenkan.blog.so-net.ne.jp/2008-09-09

BBCモニターのスタジオ用で、BC-1を例示されるのも、ちょっと違うような気がします。勿論、その系統であるし、使用実績もあるのですが、MUSICモニターの上位機種として使われたものでは有りませんからね。
by YAS (2011-02-28 12:17) 

真空管マニア

すみません、BBCモニターの記事がありました

http://www.g4dcv.co.uk/ls35a/pics/recopal/Jarticle1.html
by 真空管マニア (2015-01-26 11:59) 

YAS

非常に有名なページですね。
by YAS (2015-01-27 12:34) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました