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ビンテージスピーカーの上手な鳴らし方。 [AV FAQ]

この記事でいうビンテージスピーカーは、だいたい1950~60年代くらい。スピーカーユニットが単体で売られていた時代のものを念頭に書いています。

最近は、オークション等によって、ビンテージスピーカーが、一般の人の間で品物が流通している事や、知識の無い販売店が扱っている事から、標準的な使い方が理解されないまま、本来の性能を発揮できないような使い方をされている例が多いように思います。

あまり、断定的な事を書くのも嫌なのですが、スピーカーの実力が発揮されないのも気の毒なので、参考に成りそうなことを書こうと思います。

まず、ビンテージスピーカーを鳴らすためのエンクロージャーです。これが一番大切ですね。
スピーカーユニットが流通していても、箱は入手できない場合が多いです。中身は取り外して保存しても、大きな箱までは保存しきれなかったのでしょう。そこで、箱の入手や自作が必要になります。

自作の場合、メーカーの推奨箱や図面があれば、それを参考にするのがベストだと思います。昔は箱専業メーカーが幾つかあって(アメリカのARGOS, RJ, KARLSON等)汎用の箱を製造していました。アメリカならではのキットもあるので、そういうものを参考にしても良いかもしれません。

ただ、当時の箱は素性の良い米松合板を使っている例が多かったのですが、現在は米松合板は入手が非常に困難です。木材より接着剤の樹脂が多いような針葉樹合板は米松合板とは異なります。また、単一の素材で作られている箱は少なく、バッフルにパーチクルボードを使っているなど、メーカーのノウハウが隠されています。現在手に入る中で、どういった材料で箱を作るのかは、非常に悩ましい点で、私自身、回答が得られていません。

結局、私はその時代のアメリカ製やイギリス製のスピーカーキャビネットを入手しました。US箱はJBLのC38とRJバスレフ箱。英国箱は、単板でつくられた当時の特注箱です。

基本的に、響きの良い素材の箱に入れるのがベストでしょう。現在のスピーカーのように振動を抑えた箱ではつまらない音になってしまいます。

まれに、元々バックロードホーン用でもないスピーカーをバックロードホーンのキャビネットに入れるなど、正しくない使い方をしている人を見かけますが、あくまでメーカーの使い方を基準に考えましょう。メーカーのエンジニアは、確実に素人より優秀です。

現在の感覚で考えると、箱が大型になるのも注意が必要です。例えば、GOODMANSの12吋ユニット用の箱の体積は、ARUを使用したもので、7800 CU INS. = 128 リットル。ARU無しのもので、12500CU INS. = 205リットルと、相当巨大になってしまいます。

比較的小型の箱で済む8吋(20cm)フルレンジでも、例えばJBLのLE8Tの推奨箱は 30リットル(密閉)以上と、今の感覚で考えると口径の小ささの割りには、随分大きいです。同じ20cmフルレンジでも、より設計の古いD208/216だと推奨箱のサイズは、45リットル以上と、より大型になります。

箱の大型化は、住環境が日本より恵まれているアメリカでも深刻なのか、最近はアメリカでもビンテージの8インチハイファイスピーカーユニットの値段が高騰しているようです。(もともと8インチスピーカーはPAや設備用が多く、ホームハイファイ用は、ごく一部のメーカーからしか出ていないので、玉数も少ないのですが)

箱の変わりに、平面バッフルを使うのも一つの方法ですが、20cm以下のスピーカーで平面バッフルでは低音不足となるでしょう。(近接視聴なら大丈夫かな?)30cm以上のスピーカーでサブロク合板の半分くらいの面積のバッフルを用意すれば、そこそこ楽しめそうです。ただし、箱に入っていない以上、空気による負荷がなくなるため、低音でコーン紙のストロークが大きくなり、ユニット破損の危険性が出てきます。くれぐれも、パワーの入力は控えめにしてください。

ビンテージアンプを駆動するアンプについてですが、基本的には真空管アンプの方が、安全だろうと思います。というのも、真空管アンプ時代のスピーカーをトランジスタアンプで駆動した場合、アンプの発振等により、ボイスコイルに大電流が流れスピーカーが飛ぶという事故が起きることが多いからです。最近のトランジスタアンプでも、そういうトラブルは多いとの事ですよ。いくらでもパワーの入りそうな、JBLの38cmをダブルドライブしているような環境でもボイスコイルが溶けるような過大入力のトラブルがあるそうですよ!

その点、真空管アンプはアウトプットトランスを背負っているので、DC漏れの心配はありませんからね。私は、基本的にLEAKのSTEREO20を使用しています。このアンプについては、後日、なにか書こうと思っています。

結局は、当時の標準的な使い方をトレースするのが、一番確実ということです。

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タグ:Vintage Audio
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